「生理の量がいつもより少ないけど、何か病気のサイン?」「妊娠できるか心配…」と悩んでいませんか?生理の様子がいつもと違うと、体に何か悪いことがおこっていないか心配になりますよね。生理の状態は自分の体を知る重要なサインになります。そのため「出血量が少ない」と感じた場合は放置せず、原因となる病気を見逃さないことが大切です。この記事では、生理の量が少なくなる原因や妊娠との関係について解説します。ぜひ、最後まで読んで参考にしてくださいね。生理の出血量が少ないと不妊になる?「生理量が少ない=必ず不妊」というわけではありません。生理の量が少ない原因は多岐にわたります。ホルモンバランスの変化で一時的に出血量が少なくなることもあれば、極端に出血量が少ない場合は妊娠しづらくなる病気が隠れていることも。次にその理由について説明します。子宮内膜の薄さと妊娠の関係生理の正体は、女性ホルモンの影響で厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちたものです。毎月、女性の体は妊娠にそなえてホルモンの働きで子宮内膜が厚くなり、妊娠が成立しないと不要になった子宮内膜は体外へ排出されるサイクルです。そのため、出血量が極端に少ない場合は、子宮内膜が十分に発育しておらず、通常よりも薄い可能性があります。子宮内膜が一定以上薄いと妊娠率が下がるという報告もあるため、とくに妊活中の方は出血量が極端に少ない場合は注意が必要です。生理の量が少ない原因は?ストレスや病気の可能性生理の量が少ないと妊娠だけでなく、病気ではないかと心配になる方も多いと思います。主な原因は3つありますが、それぞれ詳しく解説します。ホルモンバランスの乱れ子宮内膜は女性ホルモンの影響を受けて厚くなるため、ホルモンバランスが乱れると出血量にも変化がみられます。ホルモンバランスに影響を及ぼすものには、以下のような原因があります。過度なストレスやダイエット女性ホルモンは脳からでるホルモンによってコントロールされるため、過度なストレスはホルモンバランスの乱れの原因になります。また、過度なダイエットで栄養不足になると、排卵がおこらない無排卵になるケースも珍しくありません。更年期による影響(40代以降に多い)更年期は、生理的にホルモンバランスが不安定になりやすい時期です。卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が閉経に向けて徐々に減少していきます。更年期のはじまりには、生理周期が短くなると同時に、生理の量が少なくなったり、少量の出血がだらだらと長引くことがあります。一方で、突然出血量が増えることもあり、生理の状態が不安定になりがちです。閉経に近づくと、女性ホルモンの分泌がさらに減少し、生理周期の間隔が2〜3カ月と空くようになります。結果、子宮内膜が厚くならず、生理の量が少なくなります。子宮の病気生理の量が少なくなる原因の一つが、子宮の発育不全や子宮内の癒着です。子宮の発育不全には子宮の大きさがもともと小さかったり、子宮の形の奇形がある場合などがあります。また、過去に流産や中絶手術を受けた場合、子宮の中が癒着しやすくなり、内膜が厚くありづらい状態になることで、出血量が少なくなることがあります。ホルモンの病気以下のようなホルモンの分泌異常の病気で、生理の量が少なくなることもあります。・多のう胞性卵巣症候群(PCOS)・甲状腺の病気・黄体機能不全・高プロラクチン血症ホルモンの分泌異常により子宮内膜が十分に厚くなる前に生理がおこり、結果として量が少なくなることがあります。また、これらの病気はそもそも排卵がスムーズにいかなくなることで妊娠しづらくなっている可能性があるので、注意が必要です。病気によって原因はさまざまで、治療法も異なるため、適切な診断と治療が必要になります。生理の量はどのくらいが普通?生理の量が極端に少ない場合は注意が必要ですが、他人と比べられないため、そもそも自分の生理が普通なのか気になるところですよね。ここでは、生理の量の目安をお伝えします。生理の量の目安生理の量を正確に計ることは難しいですが、以下の場合は通常よりも生理が少ない可能性があります。・おりものシートで間に合う・量が多い日でもナプキンを取り替える必要がない・生理が2日以内におわる(過短月経)・経血が茶色のまま〜正常な生理の目安〜・出血量:20〜140ml・期間:3〜7日20mlよりも少ないと「過少月経」、2日以内に終わる場合を「過短月経」とよびます。生理の量が少ないと、その分期間も短くなります。また、経血は時間がたつと酸化して、茶色くみえることがあります。生理の量が極端に少ない場合は、生理が茶色のままのこともあります。生理の量が少ないときの対処法は?生理の量が少ないのは、体からのサインかもしれません。次の3つの対処法をおこなってみましょう。 生活習慣の見直しとストレスケアとくに子宮やホルモンの病気ではなく、ホルモンバランスの乱れが原因の場合は「生活習慣の改善」と「ストレスケア」を意識しましょう。不規則な生活、運動不足、過度なダイエットやストレスはホルモンバランスの乱れの原因になります。とはいえ、忙しい毎日だと生活習慣の改善は中々難しいもの。例えば、「昨日よりも10分早く寝る」「エレベーターではなく階段を使う」など、無理なく続けられる工夫をしてみるとよいかもしれません。また、ストレスは誰しもが感じるもの。「疲れた日は湯船にゆっくりつかる」「緑の多い場所を散歩する」など、自分にあったストレス解消法をみつけて、ストレスとうまく付き合っていけるとよいですね。 基礎体温の測定生理の量が少ないときは、無排卵の可能性があります。無排卵は自分では気づきにくいため、自宅で妊活中の方は簡単にできる基礎体温を測定がおすすめです。基礎体温は、排卵後に分泌される女性ホルモンの影響で上がります。そのため、基礎体温表が2相になれば排卵があったことがわかります。 婦人科へ受診する生理の量が極端に少ないときは、子宮やホルモンの分泌異常の病気が隠れている可能性もあります。病院の治療でないと対処が難しいため「急に生理の量が少なくなった」と感じたら、婦人科への受診が安心です。生理の量が少ない以外で注意すべき症状は?生理は出血量が少ないだけでなく、次のような状態がみられる場合も妊娠しづらい病気が隠れていることもあります。自分に当てはまるものはないか、あわせて確認してみてくださいね。生理の量が多い・長く続く逆に生理の量が多い場合は、子宮筋腫や子宮腺筋症などの病気の可能性があります。生理の量が140ml以上を「過多月経」、8日以上出血が続くことを「過長生理」とよびますが、以下の症状があれば該当する可能性があるため、注意しましょう。・レバーのような大きな塊(500円玉大)が混ざる・ナプキンが1時間もたない・生理が8日以上続く・立ちくらみ、疲れやすいなどの貧血と似た症状がある。生理の周期がバラバラ正常な生理周期は25日〜38日です。これよりも短い(25日以内)、もしくは長い(38日以上)場合は無排卵の可能性も。とくに3ヶ月以上生理が来ない方は「無月経」とよばれる状態です。無月経を放置すると生理が再開しづらくなるため、早めに婦人科を受診をしましょう。生理痛がひどい生理痛がどんどんひどくなる、鎮痛剤が手放せない痛みがある場合、子宮内膜症が隠れているケースもあります。子宮内膜症は、原因不明不妊の原因にもなります。生理痛以外にも、性交痛や生理時に下痢を伴う症状にも注意してくださいね。生理の状態が気になるときは早めの受診を生理が少なくなる原因は、一時的なホルモンバランスの変化や子宮やホルモン分泌の異常などが考えられます。中には不妊につながるリスクもあるため、注意が必要です。生理の状態は自分の体調を知る大切なバロメータ。生理の量が少ないもしくは多い生理の周期が安定しない生理痛が悪化するなど、このような変化があるときは早めの受診を心がけましょう。この記事が、生理の量が少ないことが気になっている方の参考になれば幸いです。参考:1)一般社団法人日本生殖医学会.生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A)よくあるご質問2)メディックメディア 病気がみえるvol.9 婦人科・乳腺外科