「漢方相談って何するの?」「妊活向けの漢方薬を知りたい」と、悩んでいませんか?漢方薬の効果は気になるけど、漢方相談はハードルが高いと感じている妊活さんも多いと思います。妊活で使う漢方はいくつかありますが、体質にあうものを選ぶことが大切です。漢方相談では、丁寧なカウンセリングを元に漢方の専門医や薬剤師が体質にあう漢方提案や生活習慣のアドバイスをしてくれます。不妊分野での漢方相談は実績も豊富で、漢方薬で妊娠に向けたカラダづくりをおこなう方も多くいらっしゃいます。本記事では薬剤師が妊活の漢方相談が気になる方にむけて、漢方相談の流れや妊活向けの漢方薬を解説します。ぜひ、最後まで読んで参考にしてください。漢方薬は本当に効果がある?漢方相談前に知っておきたい漢方の基礎知識漢方薬とは2種類以上の植物や動物や鉱物などからできた生薬(しょうやく)を決められた分量で組み合わせてつくられた薬です。漢方薬は天然由来でなんとなく体によいイメージだけど、本当に効果があるのか気になるところですよね。まず、漢方薬の歴史や効果からみていきましょう。漢方は長い歴史をもつ日本独自の医学漢方=中国の医学のイメージが強いと思いますが、実は1500年ほどかけて日本で発展してきた医学ということはご存じでしょうか?飛鳥時代頃に中国の伝統医学(中医学)が日本に伝わってきたことがはじまりで、現代まで日本人の体質にあわせて様々な漢方薬が生まれてきました。中医学をルーツに日本で独自に発展してきたものが漢方医学です。現在では294処方(一般用漢方製剤)と数多くの漢方薬が承認されています。長い間、多くの人々が使用してきた結果、効果があり安全性の高い漢方薬だけが現在まで残っています。つまり、効果がなかったり安全性が低いものは歴史の中で自然に淘汰されてきたということです。漢方が経験の医学ともよばれるのも、まさにこの歴史があるからといえるでしょう。明治時代以降、西洋医学が主流となりましたが現在でも西洋医学だけでは効果が出にくい場合、漢方治療が併用されることがあります。漢方治療を併用することで治療効果を高められ、実際に約9割の医師が漢方薬を処方した経験があるという調査結果もでています。漢方は日本人の体質に合っていて、多くの治療実績がある日本独自の医学です。漢方薬の効果や特徴漢方薬はサプリとは異なり、治療効果が認められている医薬品です。ただし、体質に合わないと十分な効果が出ないことがあります。西洋薬は単一成分で体の悪い部分に直接アプローチし、一つの病気や症状を改善する薬です。一方、漢方薬は複数の有効生薬を含み、体全体のバランスを整えるサポートをおこないながら効果を発揮します。そのため、一つの漢方薬で複数の症状が改善するケースも珍しくありません。例えば、風邪のひきはじめで有名な葛根湯は肩こりにも効果があります。漢方薬は症状や病名だけではなく、体質も考慮することが効果をあげるために大切です。同じ不妊症でも他の人に効いたからといって、自分にも効くとは限りません。漢方相談は何をするの?事前準備と流れを紹介!漢方相談では漢方のプロが症状や体質をカウンセリングし、個々に合う漢方薬の選定や生活習慣のアドバイスがおこなわれます。ただ、中には漢方相談は敷居が高いと感じてる方も多いはず。ここでは漢方相談の事前準備や流れを紹介します。相談前の準備は?やるべきことや持参するもの漢方相談は約30〜60分と長い時間をかけて、身体の不調原因をさぐるための問診を中心とした診断がおこなわれます。漢方相談をよりスムーズに行うためにも、以下の事前準備をしておきましょう。体調や症状の整理漢方相談では以下の内容をよく聞かれます。最も改善したい症状(主訴)、症状のきっかけや期間食事内容や嗜好品、睡眠状況や運動習慣便通や食欲、汗の出かた性格や体質(冷え性、のぼせ症など)生理の様子(生理周期や生理の量や色、生理痛の有無)妊活の場合、生理の様子は重要な問診内容です。自分の身体としっかりと向き合い、今の体調や悩みの症状を整理しておきましょう。病院の検査結果やお薬手帳の持参病院の検査結果や病歴も重要な情報源です。健康診断結果や服用中の薬があればお薬手帳の持参がおすすめです。不妊治療を受けている場合、基礎体温表やホルモン検査なども参考になるため、忘れずに持っていきましょう。また、山芋や小麦、卵などを含む漢方薬もあるため、アレルギー歴や副作用歴も伝えておくと安心です。顔色や舌はなるべく自然の状態で漢方診断では顔や舌の色、爪などをみて体質を見立てます。そのため、濃い化粧やコーヒーなど色の濃いものを口にすると、正確な診断が難しくなります。化粧や舌に色がつきやすい飲食物などは控えめにし、自然な状態で受けるようにしましょう。漢方相談の流れ漢方相談の流れは主に以下の4ステップです。①初回問診と漢方診断漢方相談の初回では、四診(ししん)とよばれる漢方診断が行われます。~四診~望診(ぼうしん)…顔色や姿勢、体型などを目で見て判断する。舌の色や形をみる「舌診(ぜつしん)」もあります聞診(ぶんしん)…声や呼吸音、体臭、話し方をみる問診(もんしん)…病状をたずねて、症状を確認する。四診の中でも最も重要な診断切診(せっしん)…直接身体に触れ、脈やお腹の硬さなどをみる②治療方針と漢方薬の選定四診の結果をもとに治療方針が決定し、漢方薬の選定がおこなわれます。治療方針では「気血水(きけつすい)」や「虚実(きょじつ)」などさまざまな漢方理論が使われます。気血水…人は「気・血・水」の3つの要素が過不足なく、正常に巡ると健康が維持できるという考え。気は生命エネルギーや元気、血は体に栄養や潤いをあたえる血液、水は水分代謝など血液以外の液体をさす。気血水のバランスが崩れると体の不調がおこる。虚実…体力や病気への抵抗力の強さを判断する理論。「虚証」か「実証」の2つのタイプがある。「実」は筋肉質で体格がよく、声が大きい人などに多く、「虚」は疲れやすかったり、細身などの体質例えば、むくみがあり疲れやすい人なら水のバランスがよくないと考え、虚証向けの水の巡りをよくする漢方薬が使われます。③漢方薬の飲み方や生活習慣のアドバイス漢方薬の選定後は、飲み方や生活習慣のアドバイスがあります。相談先によっては、粉薬、錠剤、煎じ薬などの剤形があります。煎じ薬は効果が高く、粉剤は服用が簡便なメリットがあります。ライフスタイルや予算に合わせて好きな剤型を選びます。生活習慣の改善は漢方薬の服用とあわせておこなうことで治療効果が高まります。④服用中のフォローアップ漢方服用中は体調の変化に応じたフォローアップが行われます。初回以降の漢方相談では、症状や体調の変化、服薬状況など服用経過を確認します。妊活向けの漢方薬4選!特徴や向いている体質を解説妊活で使われる漢方薬はいくつかありますが、どれが一番優れているとは限りません。大切なのは自分の体質に合う妊活の漢方を選ぶこと。ここでは、妊活向けの4つの漢方薬の特徴や向いている体質を紹介します。気になる人はぜひ、体質も含めてチェックしてみましょう。妊活には「血」が大切妊娠しやすい体を作るためには、気血水の中でも「血」の状態を良くすることが大切です。不妊をはじめとした、生理不順や生理痛などの女性特有の不調は「血」の状態がよくないことが多いです。子宮や卵巣にも栄養を与える血が不足している人を「血虚(けっきょ)」、巡りが悪い人を「瘀血(おけつ)」とよびます。~代表的な症状~血虚…貧血、肌や髪につやがない、動悸、爪が割れやすいなど瘀血…肩こり、目の下にクマができやすい、唇や舌が暗赤色、皮膚がカサカサしている妊活では主に血を補ったり、血の巡りをよくすることで妊娠に向けた体づくりをサポートしてくれる以下の4つの漢方薬がよく使われます。当帰芍薬散当帰芍薬散は主に血を補い、水分代謝をよくする、不妊症の代表的な漢方薬です。生理痛や生理不順などの女性特有の症状や貧血、習慣性流産などにも使われます。体質的には「虚証」で、「血虚」タイプの方に向いています。また、水の巡りが悪い「水毒」体質にも向いています。向いている体質(虚証・血虚・水毒)色白、顔色が悪い、細身疲れやすい、貧血気味むくみやすい桂枝茯苓丸桂枝茯苓丸は血の巡りをよくし、生理痛や生理不順、冷え性、更年期障害などを改善する漢方薬です。他にも、打撲や痔などにも効果があります。当帰芍薬散のような貧血はなく、比較的体力がある「実証」で「瘀血」体質向きです。血流をよくする桂枝茯苓丸は血の滞りが原因でおこる生理不順などを改善し、結果として妊活にもよい影響がでると考えられています。向いている体質(実証・瘀血)体格がしっかりしている、比較的体力がある赤ら顔、のぼせ気味下半身が冷えやすい下腹部に抵抗や圧痛がある加味逍遙散加味逍遙散は主に更年期障害の女性に使われる、イライラなどの精神不安を改善する漢方薬です。生理は脳からでるホルモンによってコントロールされているため、ストレスにより生理不順がおこることも多いです。ストレスによる生理不順は妊活によくない影響を与えます。なお、情緒が不安定な状態は、気の巡りが悪い「気滞(きたい)」タイプになります。加味逍遙散は血や気の巡りをよくしたり、血を補う生薬を含み、心身の状態を整えてくれます。体質的には「虚証」で「血虚」「瘀血」「気滞」向きです。向いている体質(虚証・瘀血・血虚・気滞)精神不安がある疲れやすく、冷え症気味肩こりや便秘気味温経湯温経湯は体を温め、血流をよくして生理不順や生理痛などを改善する漢方薬です。他には、精神不安やしもやけや湿疹にも効果があります。生理不順を改善する効果から応用して妊活のサポートをしてくれます。温経湯は血流をよくしたり、体を潤す生薬が含まれています。「虚証」、「瘀血」体質で体が乾燥しやすい方に向いています。向いている体質(虚証・瘀血)少し疲れやすく、あまり体力がない足や腰回りの下半身が冷えやすい手の平がほてりやすい、唇が乾燥気味漢方薬の副作用や注意点は?漢方薬は医薬品のため副作用がおきる可能性はあります。漢方薬の種類により副作用は異なりますが、以下が代表的です。消化器症状:食欲不振・胃の不快感・下痢など皮膚症状:湿疹・かゆみなど肝機能異常漢方を服用し始めて気になる症状がでたり、健康診断で指摘があった場合は医師や薬剤師に相談しましょう。また、漢方薬を2つ以上併用する場合、甘草など一部の生薬が重複することで副作用が起きやすくなるため注意が必要です。甘草は漢方薬のまとめ役的な重要な生薬で、加味逍遙散や温経湯も含めて全体の約7割の漢方薬に配合されています。ただ、多く摂りすぎるとむくみや血圧上昇などの副作用がおきやすくなります。漢方薬を既に服用している場合は、漢方相談の際に忘れずに伝えるようにしてください。漢方相談はどこでできる?保険適用はあるの?漢方相談は病院やクリニック、漢方専門薬局などで受けられます。最近では通院なしで気軽にできるオンライン漢方相談の利用も人気です。最後に漢方相談先の特徴や保険適用についてお伝えします。※原則、保険適用の有無は施設により異なります。詳細な内容は各相談先にご確認ください。病院やクリニックでの相談漢方外来がある病院や漢方内科では漢方専門医による漢方相談が受けられます。病院やクリニックでは西洋学的な検査も同時に受けられるメリットがあります。診察内容により異なりますが、医療用の漢方薬であれば保険適用がきく可能性があります。漢方の種類によっては自由診療になるケースもあるため、事前に施設への確認がおすすめです。漢方専門薬局での相談街にある漢方専門薬局では、漢方薬剤師や登録販売者による本格的な漢方相談がうけられます。さまざまな漢方薬があり、幅広い症状や悩みに対応してくれるメリットがあります。基本的に漢方専門薬局は保険適用がなく、煎じ薬の取り扱いも多いため、高額な傾向です。ただ、自由診療のため、自身の体質に合わせたオーダーメイドの処方が可能です。本格的な漢方薬を服用してみたい人で、身近に漢方薬局があり、対面でじっくりと相談したい方に向いています。オンライン漢方相談の活用最近ではオンラインを利用した漢方相談も人気です。通院する時間がない忙しい方でも、自宅で手軽に漢方相談ができるメリットがあります。ラインで問診のみで完結する漢方相談もあれば、電話やZOOMなどで漢方相談員と話せるサービスもあります。漢方相談はまだ抵抗がある方にもおすすめです。相談先で異なりますが、保険適用がされない傾向です。まとめ漢方のプロが自分に合う漢方薬を選定してくれる漢方相談は、妊活の漢方を効果的に服用するための一つの方法です。漢方相談では病院で行われる診察よりも長い時間をかけて、漢方医学に基づいた診断とカウンセリングがおこなわれます。問診では症状や体質を細かに聞かれるため、自分の体と向き合うチャンスともいえます。妊活の代表的な漢方薬には当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散、温経湯などがありますが、自分の体質に合うものを服用することが大切です。妊娠に向けた体づくりをオーダーメイドの漢方薬でおこないたい方は、漢方相談を試してみてはいかがでしょうか?参考1)ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)添付文書.株式会社ツムラ2)ツムラ桂枝茯苓丸エキス顆粒(医療用)添付文書.株式会社ツムラ3)ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)添付文書.株式会社ツムラ4)ツムラ温経湯エキス顆粒(医療用)添付文書.株式会社ツムラ.5)漢方診療医典 第6版.矢数道明6)よくわかる漢方・薬膳.2023.柳沢侑子