「子宮内膜症」をご存知でしょうか。子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている組織(内膜)が、本来あるべき場所以外にも生えてしまう病気です。この組織が子宮の外や他の臓器にできると、生理の時に痛みを引き起こしたり、不妊の原因になることがあります。痛みは生理の時だけでなく、普段から感じることもあります。この記事では、子宮内膜症と診断された筆者の経験談と、日常生活を通したアドバイスをご紹介します。現在生理が辛い方や、将来子どもを授かりたいけど心配があるという方に読んでいただけたらうれしいです。突然の子宮内膜症の発症2016年の秋、いつも通り、朝満員電車に揺られながら通勤していました。職場の最寄り駅に着く残り20分くらいのところで、異変が起きました。突然、めまいがし、汗が噴き出してきました。同時に重い鉛を抱えているようなお腹の痛みが襲ってきました。幸い電車の窓に寄りかかっていたところだったため、電車から降りたら何とかしようと思って耐えていました。駅に着き、次々と降りていく人達を横目で見ながら、ゆっくりとホームに降り立つとぷつんと緊張が切れたようでした。目が覚めて視界に広がったのは、真っ白な病院の天井。後から話を聞くと、駅のホームで汗だくになり座り込んでしまった私を女の人が介抱し、救急車を呼んでくれたとのことでした。1週間の入院…仕事が心配有給休暇を取り、1週間の入院をすることになりました。私は当時、8時から17時までのフルタイムで働いていましたが、まだ当時の職場で働き始めて1年だったので、休むことに強烈な罪悪感を覚えました。救急車から運ばれて点滴をし、1日経って容体が落ち着いた頃、上司と同僚に仕事を代わってもらう連絡をして、ひとまず仕事はしなくてもよい状況になったものの、心の中では「働けなくなったらどうしよう」と不安な気持ちでいっぱいでした。身体がSOSを出している時でさえ、仕事のことが気になってしまい、家族に頼んで仕事の資料やパソコンをまとめて持ってきてもらいました。「もっと休んでもいいんだから」と過去に戻れるなら自分に言い聞かせたいくらいでした。妊娠できなくなったら?医師から言われたのは「子宮内膜症」。今まで聞いたことのない病名でした。それに加えて、「早めに治療をしないと妊娠が難しくなるかもしれない」とも伝えられました。子宮内膜症の正確な原因はまだ完全には解明されていないようです。最も一般的なのは「逆流説」で、生理の時に子宮内膜の組織が逆方向に流れて、腹腔内に付着し成長するものだそうです。私の場合は、卵巣に「チョコレート嚢胞」という袋状のものができて、古い血液が溜まってしまうものでした。それが痛みを引き起こす原因だと言います。これまでの生理を振り返ってみると、高校生ごろから年々症状がひどくなっていました。生理前は異常な眠さやイライラ、暴食などがあり、生理が始まるとお腹や腰、頭の痛みに毎回悩まされました。量も多く、昼でも夜用の羽根つきナプキンを着けていないと不安でした。学校や仕事もままならない状態でしたが、「生理だけで休んでいられない」と鎮痛剤を複数回飲んで紛らわす…そんな状態が続いたのですが「こんなもんだ」と病院に行かなかったことを後悔しています。「妊娠できなくなったらどうしよう」と医師の話に不安になりましたが、幸い、大きさは3センチ程度。手術に至るほどの大きさではなかったのが救いでした。医師との相談で、低用量ピルを使って治療、経過観察をしていくことになりました。毎日の生活を改めて見直すきっかけに特に大学在学中から、2016年に病気を発症するまで、不規則な生活をしていたと思います。最初に新卒で入社した会社は、夜勤ありのホテル業。新卒だったこともあり、覚えることも多く、仮眠すべき時間にも仕事をしてしまったり、深夜に夕食を取ったりすることもありました。次に就職した学校では、人手が足りず、ここでも退勤時間を3~4時間過ぎる程度の残業をしたり、掛け持ちで休みの日に別の仕事をしたりして過労働をしてしまっていました。この2年間の過度な勤務によるストレス、睡眠不足、不規則な食事の時間などが積み重なったのが病気の原因だろうと医師にも言われ、はっとしました。仕事ばかり優先してしまって、自分の身体を労わっていなかったなと。生活するために働き、お金を得るのは大切ですが、それ以前に自分の身体が健康でないと何もできなくなってしまうことに、今さらながら気づけたのです。生活改善とピルでの治療を続けて長男を妊娠病院での生活は、朝、血液検査で7時に起き、決まった時間に3食栄養が整った食事を摂り、21時に消灯して寝るといった規則正しい生活でした。1週間という短い間でしたが、規則正しいリズムで生活したのは久しぶりで、身体が生き返ったようでした。大学時代や社会人になったばかりの頃までは、毎日の生活で忙しく、つい食事を外食やコンビニで済ませたり、課題や仕事を終わらせるために、睡眠時間を削って作業したりすることが多かったように思います。規則正しい生活に加えて、低用量ピル「ルナベル」での治療を始めることになりました。退院してから次の生理が来たタイミングで服用し始め、3か月ごとに経過診察で通院。翌年2018年から、仕事も2年目になり、業務に慣れてきたこともあって、ほぼ定時に帰れるようになったことで、心に余裕が出てきました。また、帰宅後に残った仕事を夜にしないように心がけ、睡眠や食事の時間にも気を配るようになりました。ピルを毎日決まった時間に飲むのは大変でしたが、スマホでアラームを付けて寝る前の21時に飲むようにしていました。生活改善とピルでの治療を続けて約1年。再び病院で検査をすると、チョコレート嚢胞が小さくなっていました。そこからは、ピルを飲むのをやめましたが、妊娠にむけて、一層仕事と生活のバランスを考えて過ごしました。2018年の冬、長男の妊娠がわかった時には、安堵と感謝の気持ちでいっぱいになりました。早めの診断や無理しない生活を2019年の夏に無事に長男、2021年の春には長女も産まれ、現在4歳と2歳になった元気いっぱいの子供たちと大変ですが、幸せな日々を過ごしています。しかし、産後服用をやめて、生理が再開したらチョコレート嚢胞がまた大きくなってしまったため、現在は「ドロエチ」という低用量ピルを服用しながら治療を続けています。後発医薬品のため、以前の薬代の1/3の値段(3シートで約3,000円弱、3割負担)で家計にも助かっています。ピルの服用によって、気分や食欲が落ち着いたり、痛みが緩和されたりして、毎月の憂鬱だった1週間が快適に過ごせるようになってきました。前述したように、私は「生理痛は仕方ないことで我慢すればいい」と思っていました。学校や仕事だってあるし、休んでなんかいられない。薬を飲めば大丈夫だと。でも、チョコレート嚢胞がもっと肥大化していて手術が必要だったら?不妊治療を始めなければならなかったら?…そういった可能性もあったと思います。もし生理の痛みが年々ひどくなってきたり、鎮痛剤が効かなくなってきたりしている方がいたら、早めに身体のチェックをして、子宮内膜症や他の病気が潜んでいないかチェックをしてほしいと思います。そして、できる範囲で少しずつ生活を見直していくことが大切だと気づきました。私のように夜勤や残業が多く、不規則な食事、睡眠になりがちだという方は、働き方を見直し、休みの日から一歩ずつ心地よい生活習慣を取り入れていけるといいですね。