「妊活中なのにセックスレス…」「妊活中の性行為がプレッシャーに感じる」「忙しくてタイミングが合わない」と悩んでいませんか?妊活中は妊娠しやすいタイミングで複数回性行為をすることが大切。性行為の回数が少ないとそれだけ、妊娠する可能性が低くなってしまいます。ただ、なんらかの原因で性行為ができなかったり、毎日の仕事や家事におわれタイミングをとるのが難しい方も多いでしょう。そんなカップルにおすすめなのが「シリンジ法」です。これは、タイミングが合わなくても、妊娠のチャンスを広げたいカップルに向いている自宅でできる新しい妊活法です。この記事では、シリンジ法のメリット・デメリットや妊娠率を解説します。自宅妊活中で性生活に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。※本記事は2024年10月時点の内容です。シリンジ法とは?やり方や費用は?シリンジ法は、まだあまり聞いたことがない方も多いかもしれません。人工授精に近いイメージを持つ方もいるかと思いますが、実際にはどんな方法で、どのくらい費用がかかるのか気になるところですよね。まず、シリンジ法のやり方や費用、人工授精との違いをみていきましょう。シリンジ法はタイミング法の一つシリンジ法は、針のない注射器のような器具(シリンジ)を使った、タイミング法の一つです。なお、タイミング法とは、排卵日を事前に予測して、妊娠しやすいタイミングで性行為を行う方法になります。シリンジ法は欧米では一般的ですが、日本では最近広まってきた方法で「スポイト法」「セルフ人工授精」とも呼ばれています。具体的なやり方シリンジ法は、妊娠しやすい時期に以下の4つのステップを行います。マスターベーションで精液をカップに採取する精液をシリンジで吸い上げるシリンジを膣内に挿入し、精液を注入するしばらく安静にする行う前は手順をしっかり確認しておきましょう。費用や購入先シリンジは「シリンジキット」として、精子を採取するカップとセットで販売されています。シリンジキットは1回あたり500〜1000円程度で、数回分がセットになっている商品が多いです。オンラインショップでの通販購入が一般的です。病院での処方が不要なので手軽に手に入れることができます。また、一部のドラッグストアや医療機関でも取り扱いがあります。人工授精との違い人工授精とシリンジ法の違いには、似ているようでいくつか異なる点があります。シリンジ法(タイミング法)人工授精通院の有無自宅で行う通院する手法精液をそのまま膣内に自分で注入精子を洗浄・濃縮して、医師が子宮内へ注入費用安い高いシリンジ法は自宅で手軽に行えるため、通院や費用の負担が軽い傾向です。一方、人工授精は精子を洗浄・濃縮する手法もはいり、かつ正確性が高い超音波検査で排卵日を予測するため妊娠率が高くなります。なお、不妊治療は、シリンジ法も含めたタイミング法のような簡単な方法から始めて、妊娠に至らなかった場合は人工授精へとステップアップする流れになります。シリンジ法のメリットとデメリットは?注意点も紹介シリンジ法に馴染みがなく、メリットやデメリットを詳しく知りたい方もいるでしょう。ここでは、シリンジ法のメリットとデメリットをそれぞれ3つずつ紹介します。注意点もあわせて確認してくださいね。 3つのメリット シリンジ法には、以下の3つのメリットがあります。①性行為ができなくても妊活ができる以下の何らかの理由で性行為が難しい場合でも、シリンジ方法で妊活ができるようになります。男性側の原因:ED(勃起不全)や膣内射精障害など女性側の原因:不感症や性交痛により、性行為に負担を感じる生活環境:仕事の疲労や二人目妊活中で育児におわれタイミングが合わせられないまた、妊活のために無理に性行為のタイミングを合わせることで、ストレスを感じるカップルは少なくありません。シリンジ法なら、性行為を行わずにタイミングを合わせられるため、心理的な負担が軽減されます。②タイミングの回数を増やせる妊活中は、妊娠しやすい時期に複数回タイミングをとることが大切。しかし、短期間に何度もタイミングをとることが負担になることもあります。シリンジ法なら、負担なくタイミングの回数を増やせるメリットがあります。③通院や費用の負担が軽いシリンジ法は自宅で行えるため、通院が不要です。また、費用もキットや排卵検査薬などの費用のみとなるため、通院や費用の負担が軽くなります。3つのデメリットと注意点シリンジ法は費用や心身の負担が少ない一方で、3つのデメリットもあります。注意点もあわせて確認しましょう。①衛生面での不安器具を膣内に挿入するため、不衛生な環境でおこなうと感染症のリスクが高まったり、膣内を傷つけてしまう可能性があります。正しい使用方法を心がけ、手は清潔にするなど衛生面には注意してくださいね。使用済みの器具は再利用せず、新しいくシリンジを使用しましょう。②パートナーとの関係シリンジ法にパートナーが、抵抗を感じるケースも少なくありません。また、セックスレスが原因で使用する使う場合、シリンジ法は根本的な解決になりません。妊活中は男女足並みをそろえて、方向性を話し合うことが大切です。パートナーの気持ちを確認しながら、シリンジ法を取り入れるようにしましょう。③不妊原因に気づきにくいシリンジ法は通院しないため、不妊の原因が隠れている場合は気づくのが遅れる可能性があります。たとえば、症状がなくても精子の状態に問題があったり、卵管が詰まっている場合などは病院での治療が必要なケースもあります。シリンジ法を何度か試しても妊娠しない場合や、まだ検査をしていない場合は早めに医療機関への受診を検討しましょう。シリンジ法で授かった人はいるの?妊娠率についてシリンジ法について興味があっても、本当に妊娠できるのか気になるところだと思います。結論からいうと、シリンジ法で授かった人はいます。ここでは、シリンジ法の妊娠率を解説します。シリンジ法の妊娠率はタイミング法と同程度シリンジ法の妊娠率は、タイミング法とほぼ同じと考えられています。タイミング法による妊娠確率は、男女ともに健康な場合、1周期あたり20〜25%程度とされています。シリンジ法は性行為の代わりにシリンジを使用するだけなので、基本的に妊娠率は変わりません。妊娠率に影響を与える2つの要因シリンジ法の妊娠率は、年齢や実施する時期によってかわります。ここでは、妊娠率に影響を与える2つの要因について説明します。年齢による影響シリンジ法と同程度の妊娠率であるタイミング法の妊娠率は、加齢により低下します。年齢別の1周期あたりの妊娠率は以下のようになります。年齢1周期当たりの確率20代25~30%30~24歳25~30%35~39歳約18%40~44歳約5%45歳約1%参考:M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Editionまた、明確なシリンジ法のデータはありませんが、一部の海外の研究でも年齢が妊娠率に影響をあたえる結果となっています。勃起不全などで性交渉が困難なカップルが対象で、シリンジ法で6周期行った場合の妊娠率は以下の通りでした。20〜33歳:68.9% 33〜36歳:42.8% 36〜40歳:25.0%この結果からも、年齢が妊娠率に大きく影響していることがわかります。出典:Pregnancy Outcome of Home Intravaginal Insemination in Couples with Unconsummated Marriageタイミングと回数による影響性行為の時期と回数は、妊娠しやすさに影響します。米国生殖医学会によると、妊娠しやすい時期は排卵4日前から排卵日前日で、この期間に1〜2日おきに性交すると妊娠しやすい、と報告されています。タイミング法は名前の通り、妊娠しやすい時期にタイミングをとるために、排卵日を正しく正解に予測することが大切です。自宅妊活の場合は、おりものや基礎体温の変化を確認することにくわえ、排卵日検査薬の併用がおすすめです。シリンジ法の選び方は?シリンジ法の選び方のポイントは3つあります。タイプやコスパ、長さを考慮して、自分に合ったものを選びましょう。①タイプで選ぶ シリンジには以下の2つのタイプがあります。シリンジ一体型:シリンジ本体をそのまま挿入するタイプ。タンポンの使用に慣れている方に向いています。カテーテル接続型:シリンジの先にカテーテルを接続し、カテーテル部分を挿入するタイプ。痛みに弱い方におすすめです。②コスパで選ぶシリンジ法は、複数回タイミングをとることで妊娠率が上がります。その分、費用はかさむため、コスパも重要なポイントです。セット販売は、本数が多いセットほど1本あたりの価格が安くなります。また、通販で購入する際には、セールやクーポンを利用するのもおすすめです。ただし、キットが自分に合わないこともあるため、まずは3本セットなど少量から試してみるのがよいでしょう。③長さで選ぶ日本人女性の膣の長さは7〜9cmとされているため、そのくらいの長さのシリンジが多いです。ただし、長さだけでなく挿入のしやすさも重要です。痛みに敏感な方は、短めのタイプを選ぶとよいでしょう。シリンジ法でよくある質問2選実際にシリンジ法をしてみるとこれはどうなんだろう?と疑問に思う方も多いはず。最後にシリンジ法でよくある質問2選を紹介します。①シリンジ法で妊娠率をあげるコツは?せっかくなら、妊娠率を少しでもあげたいところ。以下の2つのコツを意識してみてください。②精液を液状化させてから、すばやく膣に注入する はじめ精液はゲル状で吸い取りにくい状態です。5〜10分ほどおいてしっかりと液状化させましょう。ただし、精子は乾燥に弱いため、液状化したらすぐに膣内へ注入しましょう。②注入した後は5分ほど安静注入後すぐに動くと、精液が体外に漏れやすくなります。大量に精液を漏れるのは避けたいため、5分ほど安静にしましょう。②注入後に流れ出るけど大丈夫?少し時間がたってから精液が流れ出るのは問題ないとされています。通常の性行為でも漏れ出ることは多少あります。元気な精子は頸管を通って子宮内に進入するため、多少流れ出ても影響はほとんどないと考えられています。シリンジ法で無理のない妊活をしようシリンジ法はタイミング法の一つで、性行為が難しい場合でも自宅で手軽にできる妊活法です。妊娠率はタイミング法と同程度で、性行為による負担が軽くなるメリットがあります。また、費用も比較的安価で、タイプやコスパを考慮して自分に合ったものを選べる点も魅力です。ただし、使用時にはパートナーとの関係性や衛生面での注意が必要です。妊活はパートナーと足並みをそろえることが何よりも大切。話し合いをしっかり行った上で、正しい使い方でやるようにしましょう。妊活中はタイミングを合わせて性行為を行うことが成功のコツですが、それ以上に2人がストレスをためないことも重要です。この記事が、シリンジ法を検討している方にとって、妊活中の負担が少しでも軽くなれば幸いです。参考:日本産婦人科医会:栗林先生・杉山先生の開業医のための不妊ワンポイントレッスン タイミング