不妊治療などの継続して行う治療の高額な医療費にお困りではありませんか?治療を続けると家計への大きな負担となるため、少しでも支払額を減らしたいですよね。実は「高額療養費制度」という支援制度を使えば、医療費の負担を抑えることができるのです。この記事では高額療養費制度について解説し、利用する際のポイントなどを詳しく解説します。高額療養費制度について知り、医療費を減らすためにぜひ参考にしてみてください。高額療養費制度とは医療費を補助してもらえるしくみ高額療養費制度とは、医療費が高額になった際に払った金額の一部を支給してもらえる国の制度です。どんな制度なのかを解説します。高額療養費制度の目的と概要高額療養費制度は、家計の医療費負担を減らすために設けられている公的な制度です。医療機関や薬局で支払った金額が、年齢と年収によって決まる上限額を超えると申請することができます。申請すると、上限額を超えた分の金額が支給されます。適用される医療費の範囲高額療養費制度の上限額の計算対象となるのは、保険適用となる医療費の自己負担分です。そもそも6歳から69歳の世代は医療費が3割負担となっており、病院受診にかかる費用のうち3割を私たちが病院や薬局の窓口で、残りを加入している公的医療保険(勤務先の健康保険や国民健康保険など)が支払っています。私たちが支払う3割の「自己負担額」が上限額を超えた時に、健康保険に高額療養費制度の適用を申請して超過分を受け取ることができます。高額療養費制度は医療費の自己負担額に対して適用されるため、保険適用の条件を満たしていれば不妊治療でも申請することが可能です。高額療養費制度の利用資格と対象者高額療養費制度の対象となる人と、利用できる条件について解説します。利用資格は健康保険加入のみ!誰でも申請できる高額療養費制度の利用資格は特にありません。というのも、制度の利用には健康保険に加入している必要がありますが、日本では国民全員が健康保険に加入することになっているからです。自分や配偶者の職場の健康保険や、国民健康保険などの保険証を持っていれば、誰でも申請できます。保険種類による違いはない加入している保険の種類も、高額療養費制度の適用には関係ありません。職場の健康保険や国民健康保険など、種類を問わず利用できます。ただし、加入している健康保険によっては申請を勧めてくれるところ、自動で支給してくれるところなど対応にばらつきがあるので、自分で医療費の金額を把握し情報を集めることが大切です。また、民間の企業が提供している医療保険は制度と関係がありません。年齢や所得による上限額の差高額療養費制度で支給の基準となる自己負担額の上限額は、年齢と健康保険加入者の所得によって異なります。年齢による区分は、69歳以下と70歳以上の2つに分けられています。所得による区分は、69歳以下の場合健康保険加入者の所得によって5段階に分けられています。配偶者の扶養家族として健康保険に加入している場合は、自分ではなく配偶者の所得で上限額が決まることに注意が必要です。高額療養費制度の上限額・自己負担額とその計算方法ここからは、申請の基準となる上限額と支給額の計算方法について詳しく見ていきます。自己負担額・上限額決定の注意点上限額は、同じ健康保険に加入している家族が1か月に病院や薬局の窓口で支払った自己負担額の合計を元にして算出されます。ただし、69歳以下が金額を合算するには1回の診療にかかった金額が21,000円以上である必要があります。また、「保険適用の医療費の自己負担額」には、入院時の食費や居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用は含まれません。自己負担額を確認する方法高額療養費制度の申請には、まず自分が1か月にどれだけ自己負担しているかを知ることが必要です。自己負担額は病院や薬局でもらう領収書に記載されています。申請の際に提出を求められる場合もあるので、必ず確認・保管しましょう。上限額計算に用いる所得の算出方法上限額の計算式は所得水準によって変わります。算出方法は、職場で加入する健康保険と国民健康保険で違います。勤務先の健康保険では、「標準報酬月額」という金額が基準になります。標準報酬月額は、4~6月の給与(基本給と残業手当などの諸手当の合計、賞与やインセンティブなどは含まない)の平均額で、毎年7月1日に算出されます。国民健康保険では、「旧ただし書き所得」という金額が基準になります。旧ただし書き所得は、前年の所得から基礎控除額を引いた金額です。所得に応じた上限額の計算式所得額がわかれば、上限額を計算することができます。69歳以下の上限額算出方法を表で示します。所得水準年収の目安上限額の計算式標準報酬月額83万円以上約1160万円~252,600円+(医療費-842,000)×0.01標準報酬月額53万~79万円約770~1,160万円167,000円+(医療費-558,000)×0.01標準報酬月額28万~50万円約370~770万円80,100円+(医療費-267,000)×0.01標準報酬月額26万円以下~約370万円一律57,600円住民税非課税の人一律35,400円厚生労働省資料から作成たとえば会社で健康保険に加入していて、標準報酬月額が30万円、医療費の自己負担額が月10万円だったとすると、計算式は次のようになります。80,100円+(100,000円-267,000)×0.01=78,430この場合上限額は78,430円となり、超過した21,570円の支給を申請することができます。高額療養費制度の申請方法と必要書類ここでは高額療養費制度の申請方法と必要な書類を解説します。なお、手続きの詳細は加入している健康保険によって異なります。詳しくは加入している健康保険にご確認ください。利用するための条件高額療養費制度を利用するためには、1か月にかかった医療費の自己負担額が上限額を越えている必要があります。上の表の計算式を使っておおよその金額を確認しましょう。必要な手続きと提出書類は加入している健康保険で異なる高額療養費制度の申込は、高額療養費の支給申請書を加入している健康保険に直接または郵送で提出することで行います。手続き方法や提出書類は加入している健康保険によって異なるので、各健康保険のホームページや窓口などであらかじめ確認するのが確実です。申請手順の例参考に、健康保険による申請手順の例を紹介します。国民健康保険に加入している場合は、窓口は市区町村の国保担当部署となります。手続き方法は市区町村によって異なりますが、たとえば東京都千代田区の場合、上限額を超えた時に区役所から申請書が送られ、記入して提出することになっています。また、協会けんぽ(中小企業の健康保険組合)の健康保険に加入している場合は、ホームページで申請書をダウンロードし、病院や薬局の領収書のコピーを同封して提出します。このように加入している健康保険によって申請手順が異なります。特に職場の健康保険組合に加入している方は、健康保険担当者に問い合わせるなどして手続き方法を確認しましょう。手続きのタイミングと注意点高額療養費制度の支給には支給額を決定する審査があり、これには病院を受診してから3か月程度かかります。急いでいてもすぐには給付を受けられない可能性があるので注意しましょう。また、支給申請は2年前までさかのぼって行うことができます。負担をさらに軽減!世帯合算と多数回該当医療費の負担を軽減できる高額療養費制度ですが、さらに負担を減らすことのできる「世帯合算」と「多数回該当」というしくみがあります。2人で継続的な治療を受ける不妊治療で特に活用しやすい制度となっているので、該当しないかぜひご確認ください。世帯合算の概要と計算方法世帯合算とは、同じ健康保険に加入している同一世帯の家族の医療費を合算して高額療養費制度の上限額を決めることができる制度です。例えば夫婦2人で自己負担額25,000円の治療をそれぞれ受けた時、上限額の計算に用いる医療費は2人分を合算して50,000円となります。利用条件は合算する家族が同じ保険に加入していること、1回の受診の自己負担が21,000円以上であることです。夫婦でそれぞれの会社の健康保険に加入している場合は合算ができないので注意しましょう。多数回該当の概要と計算方法多数回該当とは、過去12か月以内に3回以上上限額を超えた月がある場合、4回目以降の上限額が下がる仕組みです。多数回該当の場合は上限額が所得ごとに一律で、69歳以下の場合表のようになります。所得水準上限額標準報酬月額83万円以上140,100円標準報酬月額53万~79万円93,000円標準報酬月額28万~50万円44,400円標準報酬月額26万円以下住民税非課税の人24,600円厚生労働省資料から作成高額療養費制度のよくある質問高額療養費制度のよくある質問とその回答をまとめました。治療内容による制度の適用外はある?高額療養費制度は、保険適用となる医療費の負担軽減を目的とした制度です。そのため、保険適用外の治療は制度の適用外となります。海外での医療費は対象になる?高額療養費制度は、海外でかかった医療費も対象になります。ただし、かかった医療費は日本国内で同じ治療を受けた場合に換算して上限額を決定します。医療費が高い国で治療を受けた場合は、実際に払った金額よりも低い金額で上限額が計算されてしまうこともあります。高額療養費制度は他の公的支援と併用できる?高額療養費制度は、医療費控除や高額医療費貸付制度など他の公的支援と併用ができます。医療費控除は、1年間の医療費が10万円を超えた時に確定申告することで還付金を受けられる所得控除で、高額療養費制度とはまったく別の仕組みです。高額医療費貸付制度は、高額療養費制度の支給が行われるまでの期間の医療費を補うため、支給見込み額の8〜9割程度を無利子で借りられる制度です。借りられる金額や手続き方法は健康保険によって異なります。支給申請のタイミングは?高額療養費制度の申請方法は加入している健康保険によって異なるため、申請のタイミングもそれぞれで異なります。中には申請が不要な健康保険もあります。高額療養費制度が利用できるくらい多くの医療費支出が発生した場合は、各健康保険のホームページを見たり、担当者に確認したりして情報を集めましょう。健康保険証とはどんな関係がある?健康保険証を見れば、自分がどの健康保険に加入しているかが分かります。高額療養費制度は加入する健康保険で手続きを行うので、どこで手続きをしたらよいか分からない場合はまず健康保険証を確認しましょう。市区町村名が書いてある場合は国民健康保険ですので市区町村の窓口、それ以外の場合は加入者の会社の担当者や健康保険組合の窓口に相談できます。高額療養費制度はどう変わる?高額療養費制度がさらに便利になる取り組みも予定されています。マイナ保険証で高額療養費制度が手続き不要に健康保険証のマイナンバーカードへの移行が予定されていますが、マイナンバーカードを保険証として使用することで、手続きなしで高額療養費制度を利用できるようになります。高額療養費制度の支給には約3か月かかり、交付してもらうことでそれより早く利用できる「限度額適用認定証」を申請しても、受診に間に合わなかった場合は一旦自己負担額を全額支払う必要がありました。マイナ保険証が利用できる病院や薬局なら、申請をしなくても自動で上限額が適用されるようになります。まとめ 高額療養費制度を上手に利用するためのキーポイント高額療養費制度について解説してきました。高額療養費制度は、活用することで家計の医療費負担を抑えることができる公的な制度です。しかも、健康保険に加入していれば誰でも支給を受けることができます。手続き方法が健康保険によって異なるためたくさんの情報に惑わされてしまいがちですが、まずは自分がどの健康保険に加入しているかを調べ、相談する場合は適切な窓口に相談しましょう。