「男性の精子はいつまでも元気!」と思っている方はいませんか?近年では、不妊治療の研究が進み、不妊の原因の約半分は男性側に起因することがわかっています。「妊活中だけどなかなか赤ちゃんができない」と思っているカップルは、男女ともに不妊の検査を受けることが大切です。今回の記事では、男性の不妊の検査はいつ受ければいいのか、どんなものがあるのかを解説していきます不妊の検査を受けるタイミングはいつ?「なかなか妊娠しない」と思っていても、いつ病院を受診すればいいのか、不妊の検査を受けるタイミングがわからない方も多いと思います。特に男性であれば、自分よりもまずはパートナーの女性が受診するのを待つ方も多いでしょう。まずは、不妊の検査を受けるおすすめのタイミングについて解説します。「もしかしたら不妊?」と思ったら女性と一緒に受ける病院を受診するタイミングは、「もしかしたら不妊かも?」と思ったとき、女性と同じタイミングで受診するのがおすすめです。男性は「女性の検査が一通り終わって問題が見つからなかったら受ける」という認識の方が多いです。しかし、不妊の原因の約半分は男性側にも原因があります。避妊をせずに性交渉しているカップルの場合、3か月で約50%、6か月で約70%~80%、1年で約90%が妊娠するといわれています。女性の妊孕力(にんようりょく:妊娠する能力)が加齢とともに低下することは有名ですが、実は男性の妊孕力も加齢とともに低下します。不妊治療は原因によっては長期化することも多いです。できるだけ早い時期に受診して不妊の検査をすることで、原因を明らかにし、適切な治療を受けるようにしましょう。ブライダルチェックブライダルチェックは女性だけでなく、男性も受けることができます。男性のブライダルチェックでは、①精液検査によって精子の妊孕力に問題はないか②性感染症はないかこの2点をチェックする病院が多いです。性感染症は不妊につながるものや、生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼす病気もあります。特に梅毒は現在日本で流行しており、事前にチェックすることも大切です。男性不妊の検査はどこで受けるの?男性がいざ「不妊の検査を受けよう」と思っても、どこで受ければいいのか、わからない方も多いと思います。男性不妊の検査は、①不妊治療をあつかっている病院やクリニック②泌尿器科で受けることができます。精液検査であれば、不妊治療をあつかっている婦人科に相談してみるのもよいでしょう。検査の内容によっては、実施していない病院もあります。事前に確認すると安心です。男性不妊の検査はどんなものがある?不妊は男女ともに色々な理由から起こります。男性側の要因としては、射精される精液中の精子の質に問題がある「造精機能障害」、性交渉のときに勃起が出来ず挿入できない・勃起はするが射精がうまくできない「性機能障害」、精子は作られているが、精子の通り道に問題があって精液中に精子が出ない「精路通過障害」などがあります。男性不妊の原因についての記事はこちらを参照してください。不妊の原因にはどんなものがあるの?〜男性編精液検査男性不妊の検査として1番最初に思い浮かぶのは、精液検査だと思います。精液検査は男性不妊の検査として必須の検査なので、1番最初に実施する病院が多いです。【精液検査で調べる項目】精液検査では精液検査では「色調」「精液量」「精子濃度」「精子運動率」「精子正常形態率」「白血球数」を調べることができます。⚫︎色調肉眼で精液の色調を確認します。正常な精液は乳白色〜白色で不透明です。異常な場合は、血液が混じっていたり、白血球が混じっていることもあります。⚫︎精液量射精された精液全体の量を測定します。精液量が1ml以下の場合には、精液が逆流して膀胱内に射精している状態である「逆行性射精」や精路の閉塞、精液の産生障害が考えられます。⚫︎精子濃度精子の動きを止めて、精液1mlあたり精子が何匹存在しているかを顕微鏡で観察します。精子が1ml中に1600万個より少ない場合には「精子減少症」といい、全く精子がいない場合には「無精子症」と呼ばれています。⚫︎精子運動率精子は動いている状態によって、活発に動き回っている「前進運動精子」、前進せず円を描くように回ったり、その場でぴくぴくと動いている「非前進運動精子」、動いていない「不動精子」に分類されます。精子運動率は、すべての精子のうち、前進運動精子と非前進運動精子が何%いるのかを顕微鏡で観察します。精子運動率が42%以下の場合は「精子無力症」、運動精子が全くいない場合は「精子死滅症」といいます。⚫︎精子正常形態率正常な形態をした精子の割合を調べます。精子は頭部・頚部・中片部・尾部・終部で構成されています。このどこかに異常がある精子のことを「奇形精子」といいます。この奇形精子が96%を超えると「奇形精子症」といいます。⚫︎白血球数精液中に含まれる白血球を調べます。炎症によって白血球の数が増えると、精液内の精子の運動率を低下させてしまいます。1ml中に100万個以上ある状態を「膿精子症」といいます。膿精子症のほとんどは副性器(精嚢や前立腺)の炎症によるものです。【自然妊娠が期待できる基準値】2021年にWHOが改訂した「自然妊娠が期待できる基準値」です。精液量1.4ml以上精子濃度1600万/ml以上精子運動率42%以上(うち80%が前進運動精子)精子正常形態率 正常な精子が4%以上白血球数100万個/ml未満色調乳白色精液検査は「不妊かもしれない」と思う人が受けるものなので、平均値というものはわかっていません。この値はあくまでも自然妊娠が期待できる、ギリギリの数値です。【精液検査の方法】精液検査では、男性ご自身でマスターベーションをすることで精液を採取してもらいます。自宅で採取して人肌の温度を維持して病院に持っていく場合と、病院の個室で採取する場合があります。精液検査を受ける場合の禁欲期間は、WHOのガイドラインでは2〜7日となっています。禁欲期間が長くなると、精液量・精子濃度・総精子数は増加する一方で、精子運動率は低下し、精子のもつDNAにダメージを受けやすくなります。精液検査を受けるには、4日前に射精して3日間禁欲して受けるのがおすすめです。触診目で見て触りながら外性器の状態を調べていきます。⚫︎睾丸(精巣)大きさを測定し、硬度もみていきます。小さくて柔らかい精巣は精子を作る働きが弱いとされています。⚫︎精巣上体(副睾丸)精巣上体と精管を触診し、腫れや圧痛がないかを調べます。⚫︎陰嚢上部精索静脈瘤がないか触ってみていきます。精索静脈瘤は男性不妊症の4割に認められる疾患です。超音波検査一般的には、触診と合わせて超音波検査を行います。超音波検査では、機械を陰嚢に当てることで、精巣の大きさや状態、精巣腫瘍や精索静脈瘤がないかを調べることができます。精索静脈瘤が疑われる方では、血管の流れを見ることで治療方針を決める検査にもなります。また、男性不妊症の人はそうでない人に比べて、精巣腫瘍の可能性が高いとされています。精液量が少なく、精路の閉鎖を疑う場合には、肛門から超音波の機械を挿入して、前立腺付近の形態を調べることもあります。血液検査血液検査では、精液異常、勃起障害、射精障害などの原因を調べるために、ホルモンの値、染色体・遺伝子の状態をみていきます。【ホルモン検査】精子をつくりだしたり、射精をするには、体内でのホルモンの分泌が大きく関わってきます。一般的にホルモン検査では、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、テストステロンの値を調べます。⚫︎黄体形成ホルモン精巣内のライディヒ細胞に働きかけて、テストステロンを分泌するように促す。⚫︎卵胞刺激ホルモン精細管内のセルトリ細胞に働きかけて、テストステロンを分泌するように促す。⚫︎テストステロン精細管内で精細胞に働きかけ、精子をつくるように促す。【染色体・遺伝子検査】精子の数が非常に少なかったり、無精子症の場合には、染色体検査や遺伝子検査を勧められることもあります。染色体検査では、血液中に含まれるリンパ球の染色体を検査し、性染色体・常染色体の異常を調べます。クラインフェルター症候群では、正常男性の染色体と比べてX染色体が1本多くなっており、テストステロンの産生量が低下することで乏精子症・無精子症となります。外見や健康上は問題ないことから、診断されることなく生活されている方も多いです。まとめ今回は、男性の不妊の検査はいつ受ければいいのか、どんなものがあるのかを解説しました。不妊の原因の約半数は男性側にも原因があるといわれています。女性任せにならず、男性も早めに必要な検査をして、適切な治療を選択していきましょう。【ライタープロフィール】助産師 四辻有希子大学院を卒業後、助産師として地域周産期母子医療センターの産科病棟勤務。不妊治療から妊婦健診、出産、産後まで幅広く周産期の助産ケアに関わっている。〈資格〉・助産師、保健師、看護師・ICLS認定インストラクター・新生児蘇生法「専門」コース修了・J-CIMELSインストラクター