「妊活を始めてみたけれど、何から始めればいいかわからない」「いつか子どもを授かりたい」こんなふうに考える方も多いかと思います。そんな方に知っておいてほしいのが、「プレコンセプションケア」です。妊活中の方や将来子どもを望む方だけでなく、妊娠の可能性があるすべての方にとってプレコンセプションケアは大切な考え方です。この記事では、プレコンセプションケアの考え方や具体例を紹介します。将来の妊娠に備えたい方や、少しでも興味がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。プレコンセプションケアって何?そもそも「プレコンセプションケア」という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。はじめに、プレコンセプションケアがどのようなものか、なぜ注目されているのかを紹介しますね。プレコンセプションケアの基本的な考え方プレコンセプションケアとは、妊娠・出産の可能性がある男女が、今から健康を整えるためのケアを行うことです。「プレ(pre)」は「前の」、「コンセプション(conception)」は「受精」を意味し、つまり「妊娠前の健康管理」を指します。今の体の状態を知り、生活習慣を見直すことで、妊娠・出産がしやすくなるだけでなく、産まれてくる赤ちゃんにも良い影響を与えることが期待されています。この考え方はもともとアメリカで始まり、日本でも2015年に「プレコンセプションケアセンター」が設立され、徐々に広がりを見せています。注目されている理由プレコンセプションケアが注目される背景には、「妊娠リスクの増加」があります。たとえば、若い世代に増えている「痩せすぎ」や「肥満」、また出産年齢の上昇などが、妊娠に影響を与えることが知られています。医療技術が進んでいる今でも、妊娠・のリスクを軽減するために、プレコンセプションケアの重要性が高まっています。プレコンセプションケアが目指す3つのことプレコンセプションケアには、次の3つの目的があります。 若い世代の男女がより充実した生活を送ること 将来の健康に備えた体づくりをサポートする健康な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちがより健康になること「妊娠前の健康管理」と聞くと、妊娠しやすくなるためのケアと感じるかもしれませんが、プレコンセプションケアの目的はそれだけではありません。妊娠のチャンスを増やし、無事に出産を迎え、そして新しい家族がより幸せに暮らせるようにサポートするケアなのです。プレコンセプションケアはどんな人が意識するとよい?プレコンセプションケアは、妊娠の可能性がある18歳以上のすべての方に意識してほしいケアです。妊活中の方はもちろん、以下のような方にもおすすめです。若い世代の方「今はパートナーがいないけれど、将来子どもがほしいと思っている方」「まだ妊娠を考えるのが難しい10代の方」このように、今すぐ妊娠を考えていない方でも、特に若い世代の方に意識してもらうとよいでしょう。価値観の変化や急に結婚が決まることもあります。また、子どもを持つかどうかに関わらず、健康を守る知識(ヘルスリテラシー)を高めることは、将来の選択肢を広げることにもつながります。ただ、まだ若い世代への健康教育が十分ではなく、適切な知識を得られず、健康管理ができていない方も少なくありません。若いうちから少しずつ意識すると理想的です。男性も意識することが大切妊娠は女性だけでなく、男性の健康状態にも関わります。不妊の原因の約半分は男性側にあるとされ、不妊治療を行う場合でもカップルでライフプランや価値観を話し合うことが必要になります。プレコンセプションケアは、男性にとっても体と将来のプランを見直す良い機会になるはずです。「妊娠や出産は女性だけのもの」と思わず、男性の方もぜひ、意識してみましょう。プレコンセプションケアってどんなことをするの?実際にプレコンセプションケアでは、どんなことをするのか気になりますよね。プレコンセプションケアの5つのステップを紹介します。①自分の体を知るまずは、自分の体について知ることから始めてみましょう。適正体重の確認妊娠や出産には、適切な体重が大切です。痩せすぎると不妊や低出生体重児のリスクが高まり、肥満も女性だけでなく男性の不妊リスクを高めることがわかっています。理想的なBMI(体格指数)は22とされているので、ぜひチェックしてみましょう。 BMIの計算方法: 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)感染症検査、がん検診、健康診断を受ける自分の体に隠れた病気がないか、チェックしましょう。たとえば、性感染症の中には不妊原因となるものもあるため、パートナーができたら、一緒に検査を受けることが大切です。また、特に注意したい感染症に風疹があります。妊娠初期に風疹に感染すると赤ちゃんに影響を与える可能性があります。抗体価が低い場合は、妊娠を考える前にワクチン接種を検討してみてくださいね。②生活習慣とストレス管理毎日の生活習慣を整え、ストレスと上手に付き合う工夫をしていきましょう。若いうちから規則正しい生活を心がけることは、将来の体に良い影響を与えます。運動を日常に取り入れると、ストレス解消や肥満予防にもつながります。運動は週に150分が目安ですが、最初はストレッチなど無理のないものから少しずつ始めると良いですね。ストレスは誰でも感じるもの。特に妊活中はストレスとの向き合い方が大切です。自分に合ったストレス解消法を見つけられるとよいですね。〜ストレス解消法〜誰かと話す好きな香りの入浴剤で、ゆっくりお風呂に浸かる 趣味に没頭する緑の多い場所を散歩する③栄養管理と葉酸サプリバランスの取れた食事を心がけましょう。1日3食と一汁三菜を意識すると、栄養バランスが整いやすくなりますよ。無理なダイエットで栄養が不足すると、不妊や出産にも悪い影響が出やすくなります。また、今すぐ妊娠を希望している方は、葉酸の摂取も意識しましょう。厚生労働省は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に葉酸を含むバランスの良い食事を推奨しています。葉酸は緑黄色野菜に多く含まれていますが、体内に吸収されにくいため、不足しがちです。一方でサプリに含まれる葉酸は吸収率が高いため、妊活中は食事に加え、葉酸サプリの活用がおすすめです。④かかりつけ医や専門家に相談する定期的に歯科や婦人科の検診を受けて、気になることがあれば、かかりつけの医師や専門家に相談しましょう。生理について不安がある場合は、婦人科で相談すると安心です。中には子宮や卵巣に隠れた病気があり、不妊の原因になることも。2年に1回は子宮頸がん検診を受けることも大切です。意外かもしれませんが、歯周病は早産のリスクを高める可能性があるため、歯の検診も忘れずに受けておきましょう。また、服用中のお薬が赤ちゃんに影響を与えることもあるため、持病がある方は妊娠を希望される際に早めにかかりつけ医に相談することが安心です。若い方はストレスがたまりやすいことがあるため、強いストレスを感じたときは専門家に相談するのも良い方法です。一人で抱え込まず、早めに相談して、体と心の健康を大切にしてくださいね。⑤ライフプランを考える自分の体と心を整えながら、将来のライフプランについて考えてみましょう。年齢が上がると妊娠しづらくなるだけでなく、赤ちゃんの障害や流産の可能性も高まります。そのため、年齢に制限があることを理解しておくことが大切です。また、妊活中の方は、パートナーと価値観やライフプランについて話し合い、気持ちのすれ違いを防ぐことも妊活を成功させる鍵となります。人生にはさまざまな転機があり、それぞれの希望を叶えるために、今からできることを一緒に考えていきましょう。できることから少しずつはじめてみようプレコンセプションケアは、妊娠の可能性があるすべての方にとって大切なケアになります。正しい知識を持つことで、妊娠や出産だけでなく、人生の選択肢も広がります。反対に、知識が不足していると避けられるリスクを抱えてしまうことがあり、悔しい思いをするかもしれません。特に妊活中の方には、「妊娠する」ことがゴールではなく、無事に出産を迎え、赤ちゃんと家族が幸せになることが本来のゴールということを知っておいてほしいです。そのためにも、妊娠前に必要な正しい知識を身に付け、できることから少しずつ意識していきましょうね。参考:国立研究開発法人 国立成育医療研究センター.プレコンノート