「早期閉経は妊娠できる?」「そもそもどんな病気なの?治療法はあるの?」と悩んでいませんか。早期閉経は妊娠希望があるかどうかで治療法が異なりますが、将来お子さんを望む方は早めの対策が必要です。この記事では、早期閉経の妊娠の可能性や治療法について解説します。早期閉経はどんな病気かわからないという方は参考にしてください。早期閉経で妊娠できる?早期閉経は卵巣の働きが低下している状態のため、妊娠や出産が難しくなることがあります。ただし、妊娠の可能性が完全にゼロという訳ではありません。早期閉経は早発卵巣不全とも呼ばれ、診断後でも卵巣の働きが一時的に回復する例もあります。多くの場合不妊治療が必要ですが、排卵がみられれば妊娠する確率は3〜10%との報告もあるようです。そのため、将来子供がほしいと望まれる方は早めに不妊専門医に相談されることが勧められます。早期閉経とはどんな病気?原因はあるの?早期閉経は40歳未満で閉経してしまう病気です。日本人の平均閉経年齢は50歳ですが、それよりも若い時期に卵巣機能が低下し、閉経に近い状態になります。ここからさらに原因も含めて詳しく解説します。早発閉経のタイプは2つ早期閉経には以下の2つのタイプがあります。卵巣内に卵子がないため、排卵がおこらない卵子はあるものの、排卵をだす命令をするホルモンに異常があるため、排卵がおこらないなお、これら 2つのタイプを明確に分けて判断するのは難しいとされています。原因不明がほとんど早期閉経の75〜90%は原因不明ですが、他には以下の原因が考えられています。自己免疫疾患(甲状腺の機能の異常や糖尿病など)薬や手術など医学的治療による影響(卵巣手術、放射線被ばく、抗がん剤治療など)染色体や遺伝子の異常喫煙早期閉経は原因不明が多いですが、抗がん剤や卵巣手術がきっかけになることもあります。そのため、病院ではこれまでの治療歴や発症時期、症状、家族の病歴などの確認が大切です。どのくらいの人がなるの?早期閉経は40歳未満では約100人に1人、30歳未満では約1000人に1人の割合で見られると言われています。そのため、10代や20代でも稀ですがみられることがある病気です。早期閉経の症状は?早期閉経は名前の通り、ホルモンバランスが閉経に近い状態になります。そのため、閉経時期と同じような次の症状がみられます。生理不順・無月経(生理が来ない)早期閉経の初期は生理不順がみられ、だんだんと生理の間隔が長くなり、最終的に無月経になります。なお、無月経とは生理が3カ月以上来ない状態で、その5〜10%が早期閉経といわれています。生理不順や生理が来ない原因は、他の卵巣の病気、無理なダイエット、過度なストレスなどさまざまです。そのため、生理不順がみられる場合は婦人科で原因はないか調べてもらうことが大切です。不妊卵巣の働きが低下し、排卵が起こらなくなることで不妊の原因になります。不妊検査で早期閉経と診断される方も少なくありません。生理周期が3ヶ月、半年と長くなるほど妊娠は難しくなってしまうため、妊娠を今すぐに希望はしなくても早めに婦人科へ相談しましょう。更年期症状卵巣機能が低下し女性ホルモンが少なくなることで、自律神経が乱れて、ほてり、のぼせ、突然の汗、イライラなどの更年期の症状がおこることがあります。これらの症状は通常、閉経前後の時期の更年期にみられる症状です。骨粗しょう症や脂質異常症などのリスク女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の強さを保ち、脂質の代謝を改善する働きがあります。そのため、エストロゲンが少なくなることで、骨粗しょう症(骨がもろくなる病気)や脂質異常症のリスクが高まる可能性が知られています。さらに、血管が硬くなるため、心臓病にも注意が必要です。婦人科以外にも、健康診断を毎年受けることも大切ですね。早期閉経の診断方法早期閉経の明確な診断基準はありませんが、以下の場合は早期閉経とされています。40歳未満4カ月以上、生理がきていないホルモンの数値が閉経と近い状態:FSH(卵胞刺激ホルモン)が高く、E2(エストロゲン)が低いまた、最近ではAMH検査も早期閉経の可能性を調べる方法として活用されています。AMH(アンチミューラリアンホルモン)とは、卵巣内の卵子から分泌されるホルモンです。AMH値を測ることで、卵巣に残っている卵子の数を推定できることから卵巣予備能検査とも呼ばれます。AMH検査は「早めに体外受精を始めた方がよいのか」といった不妊症の治療方針を考える目安になります。早期閉経の治療法早期閉経の治療法は子供がほしい場合とない場合で治療法が異なります。それぞれの治療法についてみていきましょう。子供を希望する場合早期閉経は卵巣の働きが低下し、卵胞が育たず排卵しないため不妊になります。そのため、不妊治療では次の方法が行われることが多いです。排卵誘発剤(卵胞を育てて排卵を誘発する薬)排卵誘発をサポートするためのホルモン補充療法(女性ホルモン剤を服用)体外受精また、自己免疫疾患が原因の場合はステロイドでの治療が行われることもあります。ただ、現在の医療では、卵巣機能を回復させたり、排卵や妊娠の可能性を確実にあげる治療法はできていません。体外受精などの高度な不妊治療を行っても妊娠が難しいケースも多いため、早期閉経に詳しい不妊施設でないと対応ができない場合もあるので注意が必要です。また、国内では一般的ではありませんが、海外では卵子提供の方法もあります。子供を希望しない場合子供の希望がない場合は、ホルモン補充療法がおこなわれます。ホルモン補充療法とは、少なくなった女性ホルモンを飲み薬(女性ホルモン剤)で補うシンプルな方法です。女性ホルモンの低下でおこる更年期症状や骨量低下、脂質異常のリスクを軽減することが期待されています。一般的な閉経年齢である50歳頃までの継続が推奨されています。早期閉経の対処法や予防法早期閉経は原因不明なことが多く、確実に進行をおさえたり、予防法は現時点ではありません。ただ、将来子供がほしい場合でもなくても早めに病気の可能性に気づき、対処していくことが大切です。ここでは、早期閉経に対して取り組めることを3つ紹介します。ライフプランをたてる早期閉経は早めに気づき、治療を始めることが大切です。妊娠を希望している場合は、早めに不妊専門医へ相談しましょう。今すぐの妊娠希望はなくても、卵子が残っていれば卵子や受精卵を保存する方法もあります。自分の気持ちを整理しつつ、ライフプランを考えてみましょう。ストレスケアをする早期閉経と診断された場合、大きなストレスをかかえる方が多いです。ただの生理不順だと考えていたところ、思いがけない診断で気持ちの整理ができないこともあるでしょう。中には、うつ病にかかってしまう方もいらっしゃいます。強いストレスを感じたときは一人で悩まずに、専門のカウンセラーや支援機関への相談もおすすめです。誰かに相談して気持ちが軽くなることもありますよ。心のケアを大切にしてくださいね。禁煙や生活習慣の見直しを心がける確実に予防できる訳ではありませんが、喫煙は卵巣機能が低下する一つの要因です。さらに喫煙は心臓病のリスクもあがるため、禁煙を心掛けましょう。また、女性ホルモンの低下に伴い、脂質異常も起こりやすいため、バランスの良い食事、定期的な運動、十分な睡眠など生活習慣の見直しも大切になります。健康診断を定期的に受けることもおすすめです。早めの対処と心のケアを早期閉経は生理不順から徐々にはじまり、生理が止まってしまう状態が続く病気です。生理が止まっている時間が長いほど、対処が難しくなるケースが多いです。早期閉経の場合は妊娠や出産が難しくなる可能性があるため、ただの生理不順と放置せずに、早めの受診を心がけるようにしましょう。ほてりや寝汗などの更年期と似た症状も見逃さないことも大切です。また、早期閉経と診断された場合、強いストレスを抱える女性も少なくありません。一人で悩まずに、必要に応じて専門家へ相談する方法もあります。自分の気持ちを大切にしながら、ライフプランを考てみるのも一つの方法です。この記事が、早期閉経について気になっている方の参考になれば幸いです。参考:1)産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編 2023.日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会2)早発閉経(早発卵巣不全).女性の健康推進室