妊娠の兆候の一つである着床出血があった場合、妊娠の可能性があります。妊娠を希望されている方は特に、すぐに妊娠したかどうかを知りたいと思います。今回の記事では着床出血があったら妊娠検査薬はすぐに使えるのか、妊娠検査薬のしくみをふまえて解説していきます。着床出血ってなに?排卵した卵子は「卵管膨大部」で精子と出会い、受精します。その後、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、約3日間かけて卵管の中を通って運ばれていき、子宮に到達します。細胞分裂した受精卵である「胚盤胞」が、子宮内膜に深くもぐり込むことを「着床」といいます。着床は受精後6〜7日目から始まり、受精後12日前後で完了する場合が多いです。この着床が完了すると、妊娠が成立したことになります。着床する過程で子宮内で出血が起き、それが性器出血として出ることを「着床出血」と呼んでいます。着床出血は医学的に根拠が示されているものではありませんが、経験したことがあると答える女性は、4人に1人の割合となっています。妊娠検査薬ってなに?「妊娠検査薬」は、妊娠したかどうかをご自身で知ることができる検査キットです。ドラッグストアなどで手軽に購入することができるものですが、使用するにあたって注意点もあります。ここでは、妊娠検査薬のしくみと種類について詳しく解説していきます。妊娠検査薬のしくみ妊娠検査薬は、妊娠した女性の尿中に含まれるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を感知することで反応する検査キットです。⚫︎ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)受精卵が着床すると、お母さんと赤ちゃんの栄養をやりとりする基盤となる、胎盤が作られていきます。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は、胎盤のもととなる絨毛という細胞から分泌されるホルモンです。妊娠初期には、妊娠黄体を刺激して、プロゲステロンやエストロゲンの分泌を促進させたり、子宮の中を妊娠に適した環境に整えてくれます。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)は、妊娠4週0日を過ぎてから急速に増加し、妊娠8〜10週にピークを迎えます。妊娠した女性からしか大量に分泌されないホルモンなので、妊娠の判定に使用されます。妊娠検査薬の種類と妊娠検査薬が反応する時期ドラッグストアなどで購入できる市販の妊娠検査薬には、早期妊娠検査薬と一般妊娠検査薬の2種類あります。早期妊娠検査薬と一般妊娠検査薬では、尿中に出るヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を感知する感度が違うため、検査できる時期に違いがあります。⚫︎早期妊娠検査薬尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が、25mlU/ml以上になると感知します。妊娠した女性の尿には、妊娠4週0日で約50mlU/mlのヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が検出されます。そのため、早期妊娠検査薬は妊娠4週0日、つまり月経周期が28日周期の場合には、生理開始予定日から使用することができます。⚫︎一般妊娠検査薬尿中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が、50mlU/ml以上になると感知します。早期妊娠検査薬と比べると、感度が低いため、尿中に出るヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が多くなってから検査する必要があります。月経周期が28日周期の場合には、生理開始予定日の1週間後から使用することができます。着床出血があったら妊娠検査薬は陽性になる?妊娠を心待ちにしている方は特に、着床出血があると「妊娠したかもしれない」と気になりますよね。ですが着床出血があったからといって、必ずしも妊娠検査薬が陽性になるわけではありません。着床出血があっても妊娠検査薬はすぐに使えない着床出血が起こるのは、前回の生理の始まりから約3週間前後です。妊娠検査薬が反応するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が検出されるようになるのは、早くても妊娠4週0日からです。一般的な妊娠検査薬で検査可能となるのは、生理開始予定日の約1週間後、早期妊娠検査薬でも生理開始予定日から検査可能となります。そのため、着床出血が起こった時期では、早過ぎて妊娠検査薬での検査はできません。出血の原因が着床出血とは限らない前回の生理がはじまったときから数えて3週間目に出血が起こると、「着床出血かも?」と思う方もいると思いますが、この時期に起こる出血が着床出血とは限りません。女性のカラダは体調やストレスなどにも敏感です。ホルモンバランスが乱れることで、生理が早まった可能性もあります。また、子宮や膣に炎症が起こることでの不正出血、良性・悪性腫瘍による不正出血など様々な可能性があります。前回の生理がはじまったときから3週間目の出血があり、その1〜2週間後に適切な時期に妊娠検査薬を使っても陽性になるとは限らないのです。妊娠超初期に他に起きる症状はある?着床出血以外にも妊娠超初期に起きる症状はあります。ここでは、症状の例を紹介していきます。風邪っぽい症状妊娠初期は、プロゲステロンの影響で高温期が維持された状態となるため、カラダの熱っぽさやだるさを感じる方も多いです。市販薬の内服は、赤ちゃんへ悪影響を与える可能性もあるので注意が必要です。妊活されている方は様子を見て、適切な時期に妊娠検査薬を使用したり病院を受診しましょう。吐き気がある早い方だと妊娠3週後半ころからつわりを感じる方もいます。つわりは、妊娠することでホルモン(主にヒト絨毛性ゴナドトロピン)の影響を受けて、吐き気や胃の不快感を感じたり、嘔吐する症状です。つわりは個人差が大きく、時期や程度も変わってきます。気分にムラがある生理の前に気分が落ち込んだりした経験はありませんか?カラダの中でホルモンの変動が激しくなると、気分が落ち込んだり、集中力が低下したりと、気分にムラが出ます。妊娠初期は、カラダの中でのホルモンの変動がとても激しい時期です。そのため、生理前と同じような気分のムラを感じることもあります。まとめ今回は、着床出血と妊娠検査薬について解説しました。月経周期が28日と安定している方で、着床出血が起こる可能性があるのは生理から約3週間後、一般の妊娠検査薬が使えるようになるのは、生理から約5週間後(早期検査薬の場合は約4週間後)になります。ですが、月経周期が不安定な方は、時期がずれることも多いです。着床出血はあくまでも、妊娠したかもしれない兆候の一つと考え、適切な時期に妊娠検査薬を使用したり、病院を受診しましょう。