最近では女性の社会進出も進み、妊娠を考える年齢が高齢化してきたこともあり、妊娠を望むカップルの10組に1組は不妊だといわれています。妊娠を望んでる方の中には、「なかなか妊娠しない」という思いで不安を感じている方がいらっしゃるかもしれません。今回の記事では、女性の不妊の検査はいつ受ければいいのか、どんなものがあるのかについて紹介します。不妊の検査を受けるタイミングはいつ?「なかなか妊娠しない」と思っていても、いつ病院を受診すればいいのか、不妊の検査を受けるタイミングがわからない方も多いと思います。まずは不妊の検査を受けるおすすめのタイミングについて解説します。「もしかしたら不妊かも?」と思ったら病院を受診するタイミングは、「もしかしたら不妊かも?」と思ったそのときです。避妊をせずに性交渉している場合、3か月で約50%、6か月で約70%~80%、1年で約90%が妊娠するといわれています。「もしかしたら不妊かも?」と思う方は、少なくとも数ヶ月妊活していると思います。女性の不妊は加齢と密接に関係しているため、妊娠は年齢を重ねるほど難しくなっていきます。不妊治療は個人差も大きいですが、人によってはかなり長期的に治療をしていく方もいらっしゃいます。正常に排卵が起きている人でも妊娠できるのは月に1回、年に12回しかチャンスはありません。「今日よりも若い日はない」という気持ちで、できるだけ早い時期に受診して検査することがおすすめです。ブライダルチェックブライダルチェックとは、今後妊娠や出産を考えている女性にとって受けておきたい婦人科検査のことです。「ブライダル」という名前ですが、結婚していて、そろそろ妊活を考えようとしている方も受けることができます。妊活を始める前に、婦人科疾患はないか、性感染症はないか、ご自身でカラダを把握しておくことも大切です。一般的な不妊の検査にはどんなものがある?不妊は男女ともに色々な理由から起こります。女性では、排卵が起きない卵巣因子、卵子や受精卵を運ぶ卵管に異常がある卵管因子、受精卵を着床させ胎児を育てる子宮に異常がある子宮因子など、様々な原因があります。女性不妊の原因についての記事はこちらを参照してください。不妊の原因にはどんなものがあるの?〜女性編まずは「不妊かも?」と思った女性が行う、一般的な不妊の検査について解説していきます。月経周期と検査の時期のまとめ不妊の検査は、月経周期によって受ける検査が変わってきます。月経周期と検査の時期を図にまとめましたので参考にしてください。基礎体温これはご自宅で毎日ご自身でチェックしていくことが必要な検査です。基礎体温とは、人間が生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない状態、つまり寝ている状態の体温のことをいいます。基礎体温は、一般的に朝目覚めて活動する前に測定します。正常な排卵が行われている女性の基礎体温は、女性ホルモンの影響を受けて排卵前後で排卵前にはエストロゲンの影響で「低温期」、排卵後はプロゲステロンの影響で「高温期」と、2パターンに分かれています。この基礎体温をチェックすることで、排卵が起きているかの指標になります。また、排卵が起きている場合には、3ヶ月ほど基礎体温をみることで排卵日の予測も可能となります。超音波検査(経膣・経腹)子宮や卵巣の状態を見るための、最も基本的な検査です。お腹の上から見る経腹超音波と、膣の中から機械を入れて見る経膣超音波があります。この超音波検査で何をみるのかは、月経の時期によって違います。子宮を見るときには、不妊の原因となる子宮因子がないか、子宮の形や子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がないかを診察していきます。排卵が近くなり、子宮内膜が厚くなってきているときには、十分に子宮内膜が厚くなっているかなど、子宮内の環境が着床しやすいか確認していきます。卵巣を見るときには、卵巣そのものが炎症が起きたり腫れていないかを検査します。排卵前には卵胞の成長具合を調べ、卵胞の大きさを測ることで、排卵の時期を予測することもできます。超音波検査で婦人科疾患や気になる所見が見つかった場合には、子宮鏡検査やMRIなど特殊な検査を行います。ホルモン検査(血液検査)女性の月経や排卵は、視床下部や下垂体、卵巣からのホルモンによってコントロールされています。これらのホルモンが、適切な時期に必要な量だけ分泌されることで、排卵が起きたり妊娠が成立します。月経周期に合わせて採血をすることで、血液中のホルモンの量を測定し、不妊の原因を把握します。【月経開始2~4日】ホルモンの基礎バランスを調べます。⚫︎FSH:卵胞刺激ホルモン卵胞を成長させる指示を出します。卵胞刺激ホルモンの分泌が不十分だと、卵胞が育ちません。⚫︎LH:黄体形成ホルモン卵胞を成長させる指示を出します。黄体形成ホルモンの分泌が不十分だと、卵胞が育ちません。また、急激にたくさん分泌することで排卵を指示します。この黄体形成ホルモンの濃度がカラダの中で急激に上昇しないと、排卵は起きません。⚫︎PRL:プロラクチン本来、非妊娠時には多く分泌されません。プロラクチンが過剰に分泌されていると、妊娠しにくいカラダになります。⚫︎E2:エストロゲン(卵胞ホルモン)卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンの刺激によって、卵胞が育つと分泌されます。子宮内膜を厚くしたり、頚管粘液を増加させ、カラダを妊娠しやすい状態にします。⚫︎TSH:甲状腺刺激ホルモン甲状腺刺激ホルモンは、甲状腺に対して、甲状腺ホルモンであるfT3とfT4をつくるように指示します。甲状腺は、首の下の方についている小さな臓器で、カラダの中の色々な臓器がスムーズに働くために必要な甲状腺ホルモンをつくっています。甲状ホルモンは卵胞の成長にも必要なホルモンです。甲状腺刺激ホルモンの値をみることで、甲状腺の機能が正常かどうかを判断します。【排卵後5~7日】⚫︎E2:エストロゲン排卵後から少しずつ分泌が減っていきます。⚫︎P:プロゲステロン(黄体ホルモン)排卵後の卵子から分泌されます。受精卵が着床しやすいように、子宮内膜の環境を整えます。AMH検査(血液検査)抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血液中の濃度を測定することで、卵巣に残されている卵子の数を推測する検査です。卵子の質は検査に反映されないため、あくまでも数だけを予測します。年齢が高くなるにつれて、AMHは低くなってきます。2.2ng/ml以上あれば、卵胞の数が十分残っているため、卵巣機能が保たれている状態だと考えられています。また、AMHが高すぎる場合には、多嚢胞性卵巣症候群などの疑いがあり、年齢に対して低すぎる場合には、早発閉経の可能性があります。ピルなどを使用していると、AMHが低く出る場合があるとの研究結果もあります。【検査の時期】月経周期に左右されないものなので、検査する時期はいつでも大丈夫です。子宮卵管造影検査卵管の通過性、卵管周囲の癒着、子宮内腔の形態などを調べる検査です。子宮の中に中ー部を入れて固定し、造影剤を入れてレントゲンで透視することで子宮から卵管、おなかの中までどのように拡がるかを観察します。【検査の時期】月経終了後から排卵の前に行います。頚管粘液検査頸管粘液を注射器で吸い取り、肉眼や顕微鏡で観察する検査です。頸管粘液の量・透明度・粘り気・細胞の数などを見ることで、頚管粘液が正常に分泌されているか、エストロゲンの分泌が正常に行われているかがわかります。【検査の時期】頚管粘液は排卵直前になると透明になり粘り気が増し、精子を子宮内に入りやすくする重要な役割を持ちます。その状態を把握するために、検査は排卵直前に行います。性交後試験(フーナーテスト)排卵日を予測し、その時期に性交渉をします。その性交渉後に、頚管粘液を採取し、頚管粘液中の精子の状態をみる検査です。頚管粘液中に精子が少なかったり、動いていないと免疫異常が疑われます。【検査の時期】排卵直前の性交渉のあと、6〜12時間以内に行います。特殊な不妊の検査にはどんなものがある?超音波検査など、一般的な検査で気になる所見が見つかったときに、必要に応じて行う検査について紹介します。子宮鏡検査⼦宮の中に3〜5mmくらいの細いカメラをいれて、⼦宮の内部を直接観察する検査です。経膣超音波検査などで、子宮内腔に子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・子宮奇形・子宮内腔癒着・子宮内膜症などが疑われた場合に、どの程度の状態かを詳しく調べます。検査の時期は、子宮内膜が厚くなる前の、子宮の中の状態が最もみやすい時期である、月経終了直後に行います。MRI強い磁力を発生する装置でカラダの断面像を取ることのできる検査です。子宮や卵巣の形を詳しく見たり、子宮筋腫や子宮内膜症の進行具合なども診断することができます。まとめ今回は、女性の不妊の検査にはどんなものがあるか、いつ受ければいいのかを解説しました。女性の年齢が上がるとともに、不妊率も流産率も上昇していきます。不妊には様々な原因があり、治療方法も変わってきます。妊娠を望んでいて「もしかしたら不妊かも?」と思ったら、「今日より若い日はない」という気持ちで、できるだけ早く不妊の検査を受けることがおすすめです。